国際協力機構との協調融資

国際協力機構との協調融資

IFCは、日本の開発金融機関と共同投融資案件の発掘・案件の遂行に尽力しています。

IFCと国際協力機構(JICA)は、2015年4月18日に締結した基本協力協定(Master Cooperation Agreement: MCA)によって協調投融資案件における協働プロセスを取り決め、融資の迅速化・効率化を図ってきました。2017年5月には、途上国における開発効果の高いプロジェクトに対して、今後5年間で15億ドルを目標に協調して投融資を行うための業務協力にかかる覚書(Memorandum of Cooperation: MOC)を締結しました。2022年9月にMOCを更新し、引き続き5年間で15億ドルの協調融資を行うことを目標として掲げています。2017年以来、2023年1月までに11件の協調融資案件を含め、14件に及ぶ案件においてJICAと協働しています。

エジプトの太陽光発電

  • 2022年11月、IFCはアラブ首長国連邦を拠点とするAMEA Powerが手掛けるエジプト最大発電量となる560MW(最大出力)のアビドス太陽光発電事業向けに、国際協力機構(JICA)とオランダ開発銀行 (FMO)とともにエジプト・アラブ共和国のAbydos Solar Power Companyに対して、最大 1 億 6,000 万ドルの協調融資で合意。
  • 本事業の電力料金は、 2 米セント/キロワット時とアフリカ域内で最も安く、世界的にみても、クリーンで安価な価格帯の電力供給が可能となる。
  • IFCは、融資パッケージの融資期間の金利について変動から固定へのスワップ取引を行うことにより、金利上昇のリスクの大半を排除している。

ウズベキスタンの風力発電事業

  • 2022年9月、IFCは中東最大の再生可能エネルギー発電事業者の一つであるAbu Dhabi Future Energy Company PJSC(Masdar)が手掛ける500MWのザラフシャン風力発電所の建設に際し、国際協力機構(JICA)及びオランダ開発銀行(FMO)とともにMasdarの100%子会社である特別目的子会社(Shamol Zarafshan Energy Foreign Enterprise)に対して総額9,400万ドルの協調融資で合意。
  • 本事業は、中央アジア最大規模となるウズベキスタンで初の民間企業が建設・運営する風力発電事業。
  • Project Finance International(PFI)による2022年度アワードにおいてMiddle East and Africa Central Asian Deal of the Yearを受賞。
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コロンビアにおける金融アクセス改善

  • 2020年1月、IFCはコロンビアの民間金融機関Banco Davivienda S.A.に対して、3億6,000万ドルの融資を提供することで合意。
  • 本事業を通じ、女性が経営する零細・中小企業(MSMEs)への金融アクセス改善の支援や、公営住宅及びグリーンビルディング建設に向けた資金を提供。
  • 2022年3月、JICAが1億5,000万ドルを上限とする協調融資に合意。

カンボジアの太陽光発電

  • 2021年8月、IFCはカンボジアで太陽光発電事業を営むPrime Road Alternative (Cambodia) Co., Ltd社に対し、JICA、アジア開発銀行(ADB)、ノルウェー開発途上国投資基金(Norfund)及びタイ輸出入銀行(Thai EXIM)と共に協調融資に合意。
  • IFC初のカンボジアでの電力案件。
  • 本事業を通じ、発電単価が3.877cent/kwh(1キロワットアワー当たり約4.1円)とカンボジア国内だけでなく東南アジア域内でも最も廉価な電力供給が可能となり、カンボジアの電力料金低減が期待されている。

イラクの港湾施設への支援

  • IFCは、JICAとともにイラク最大の港湾ウンム・カスル港において近代的な新ターミナル建設を支援するため、JICAからの融資4,000万米ドルを含む総額1億2,500万米ドルの画期的な融資パッケージを提供。
  • 同港はイラクの貿易拡大と経済発展に重要な港湾施設で、最新設備を備えた新ターミナル建設により、船舶の係留期間の大幅短縮と大型船の荷役能力の向上を通じ、運営効率の改善を図る。
  • 同案件は、イラク経済の多様化と基幹インフラの強化を図る世界銀行グループの取組みの一環で、イラクにおける非エネルギー関連投資プロジェクトとしては過去最大規模。

アジア・パシフィックのアグリビジネス

  • IFCは、JICAとともに、2020年4月、三菱商事が出資するシンガポールの食料・農産物事業会社Olam International Limited(Olam社)との間で、小規模農家を支援するプロジェクトに、IFCは最大1億2,000万米ドル、JICAは最大5,600万米ドルの融資を提供することで合意。
  • インドネシア、パプア・ニューギニア、東ティモール、ベトナム及びウガンダの小規模農家の市場アクセスを改善し、所得向上を目指す同プロジェクトにおいて、JICAは、インドネシアでカカオ栽培を営む小規模農家の生産拡大に資金を提供。
  • 本件は、農業分野におけるIFCとJICAの初の協調融資案件。

メキシコの太陽光発電

  • IFCは、2019年11月にメキシコでの太陽光発電所建設支援のために、同国エネルギー大手、イエノバ社(Infraestructura Energetica Nova, S.A.B.de C.V.)に対し、北米開発銀行(NADB)と共に協調融資で合意。
  • 2020年3月には、JICAも協調融資に加わり、最大1億ドルの融資契約を締結することで合意。
  • 同社への協調融資額は、IFCとNADBによる当初の2億ドルに加え、米国国際開発金融公社(DFC)の2億4,100万ドル及びJICAの1億ドルを含め、総額5億4,100万ドルに拡大。
  • イエノバ社への融資は、グリーンローン原則の認証を取得した融資案件で、JICA初のグリーンローン案件。

ブラジルの製紙・パルプ製造

  • 2019年10月、IFCは、ブラジルの製紙・パルプ製造会社であるクラビン社に対し、2億8,000万ドルを、米州開発銀行(Inter-American Development Bank:IDB)グループの米州投資開発公社(IDB Invest)は1億8,000万ドルの融資パッケージに調印。
  • 2020年3月に、JICAが7,200万ドルの協調融資に合意。
  • 本件は、邦銀含む民間金融機関8社から計35,000万ドルの資金も動員。
  • 本事業によりブラジルの製紙生産量を拡大し、グローバルな貿易を促進させるとともに、製紙・パルプ製造のバリューチェーンの改善及び雇用の促進を図る。

サブサハラ・アフリカ地域のインパクト投資ファンドを通じた中小企業支援

  • IFCが2018年2月、サブサハラ・アフリカ地域においてインパクト投資を行っているI&P Afrique Entrepreneurs II LPに12.6百万ユーロを出資。欧州投資銀行(EIB)や仏海外経済協力振興会社(Proparco)等の開発金融機関も出資参画。
  • 2019年8月には、JICAも7百万ユーロの出資契約に調印。
  • 同ファンドへの出資を通じ、サブサハラ・アフリカ地域の安定的な経済成長の実現に需要な中小企業への投資及び技術支援を可能にし、産業の多角化及び雇用創出を支援。

バングラデシュ火力発電

  • 2016年10月に、バングラデシュの複合サイクル火力発電所建設プロジェクトへ合計1億6,500万ドルのAローン及び協調融資契約を調印。JICAはこのうち3,000万ドルの協調融資を提供。
  • プロジェクトのスポンサーは、シンガポールを拠点として世界中で電力及び水道事業を手掛けているSembcorp Utilities社及びバングラデシュの国営電力会社North West Power Generation Company(NWPGCL)。
  • 本発電所はバングラデシュ国内において2番目に大きい発電所となる予定。

バングラデシュLNG (Bangladesh Excelerate Energy)

  • 2017年7月に、バングラデシュの浮体式LNG貯蔵再ガス化設備運営プロジェクトへの出資、Aローン並びに協調融資契約を調印。
  • 米Excelerate Energy Limited Partnership社とIFCの設立する特別目的会社 (SPC) を通じて、バングラデシュ南東部のモヘシュカリ沖合における洋上設備、港湾業務、浮体式LNG貯蔵再ガス化設備(Floating Storage and Regasification Unit、FSRU)の用船契約を含む、液化天然ガス(LNG)の洋上輸入ターミナルの建設・運営が行われる。

ヨルダン太陽光発電事業 (Masdar Jordan)

  • 2017年12月にヨルダンで最大規模となる太陽光発電所整備事業への1億8,800万ドルを上限とするAローン及び協調融資契約を調印。
  • 本プロジェクトは、拡大する難民危機を一因として増加するヨルダンのエネルギー需要に対して、再生可能エネルギー事業への投資を推進する一連の取り組み。
  • 本プロジェクトは、Abu Dhabi Future Energy Company (マスダール社)がアンマン東部に位置する248MW太陽光発電所の開発、資金調達、建設、運営推持管理を行うもので、発電される電力は20年間の電力購入契約の基づきヨルダン国営電力会社(NEPCO)が購入する予定。マスダール社は、2006年にアブダビ政府が設立した再生可能エネルギーに特化した営利企業で、アブダビ政府系の投資会社であるMubadala Investment Companyの完全子会社。
  • 本プロジェクトの融資パッケージは、IFCの自己勘定による5,400万ドルに加え、その他のシニアレンダーからの協調融資1億3,400万ドルで組成。その他のレンダーには、パラレル・レンダーとして、JICA、石油輸出国機構国際開発基金(OFID)、ドイツ投資開発公社(DEG)、IFC Bレンダーとしてオランダ開発金融公庫(FMO)と欧州アラブ銀行が参画。